安全上のご注意
ここに示した注意事項は、製品を安全に正しくお使いいただき、お客様や他の人々への危害や損傷を未然に防止するためのものです。内容をよく理解してから製品をお使いください。
ロボットを組み込む機械が関連する安全基準を満たしていない場合、ロボットの運転を開始する(用途の指定に従って装置を操作する)ことは禁止されています。工場または機械の安全責任者は、けがや機械損害を防止し回避するため、安全に関する専門知識を持つ有資格者だけが機械の操作を行なうように保証する必要があります。
有資格者とは、適切な訓練や教育を受け、経験があり、また関連する規格、法規制について精通しており、工場の安全責任者によって必要な活動を行なうことを許可され、潜在的危険を識別し、防止することのできる人を指します。
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この警告事項に反した取り扱いをすると、死亡または重傷を負う場合がある内容を示しています。 |
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この注意事項に反した取り扱いをすると、傷害を負うまたは物的損害が発生する場合がある内容を示しています。 |
Note |
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製品を正しくお使いいただくために、お客様に必ず守っていただきたい事項を、本文中の関連する取り扱い項目に記載しています。 |
Tip |
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本書の理解を深める内容や、関連情報を記載しています。 |
全般
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人命および身体の維持や管理などに関わることを目的とする装置には使用しない。
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爆発性雰囲気、引火性ガスの雰囲気、腐食性の雰囲気、水のかかる場所、可燃物のそばでは使用しない。火災・けがの原因になります。
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設置、接続、運転・操作、点検・故障診断の作業は、電気および機械工学の専門知識および安全に関する専門知識を持つ有資格者が行なう。火災・けが・装置破損の原因になります。
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製品を含めたすべての部品を装置に組み込んだ完成状態で、リスクアセスメントを実施する。けが・装置破損の原因になります。
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装置の動作中に製品の可動範囲内へ入らないよう、必ずISO 13857で規定された安全距離を満たす安全防護柵を設ける。けがの原因になります。
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安全防護柵の内側で製品を教示、調整、および点検する必要がある場合は、装置全体のリスクアセスメントの結果に応じた、適切な安全対策を施す。けがの原因になります。
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装置の故障や動作の異常が発生したときに、装置全体が安全な方向へはたらくよう、適切な安全対策を施す。けがの原因になります。
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装置には非常停止機能を設ける。けがの原因になります。
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安全関連制御システムの機能および性能は、装置全体のリスクアセスメントの結果に応じて適切に決定する。けがの原因になります。
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製品を分解・改造しない。けが・装置破損の原因になります。
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装置全体がISO 12100、ISO 10218-1、ISO 10218-2、および労働安全衛生法をはじめとする関連規格、法規制を満たした状態で使用する。けが・装置破損の原因になります。
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通電状態で設置、接続、点検・故障診断の作業をしない。通電状態で作業する場合は、労働安全衛生規則における作業規定の作成にもとづき、適切な安全対策を施す。火災・けが・装置破損の原因になります。
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製品の可動部に手などを挟まれないようにする。けが・装置破損の原因になります。
設置・配線
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製品は重量物のため、運搬や設置の際は2人以上で作業を行なう。けがの原因になります。
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運搬や設置の際は、ヘルメット・安全靴・手袋などの保護具を着用する。けがの原因になります。
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製品本体は指示に従って確実に固定する。けが・装置破損の原因になります。
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配線・接続は指示に従って確実に行なう。火災・装置破損の原因になります。
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電源側からの大電流による発火を防ぐため、必要に応じて外付けのヒューズを設置する。
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アーム部およびケーブル部を引っ張ったり、無理に曲げたり、ケーブル部を持って製品本体を持ち上げたりしない。けが・装置破損の原因になります。
重量物の運搬に関する警告事項
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製品を運搬するときは、2人以上で作業を行なうか、クレーンなどを使用する。
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2人以上で作業するときは主と従の関係を明確にし、声を掛け合って安全を確認しながら運搬する。
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クレーンを使用するときは、クレーンの定格荷重を超える荷物を吊るさない。
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吊具の切断荷重や安全係数を考慮し、製品の搬送に適した吊具を使用する。また、吊具に損傷がないか確認する。
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クレーンで吊るした荷物の上に乗らない。
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荷物を吊るした状態でクレーンを放置しない。
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荷物を吊るしたクレーンの下に入らない。
運転
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ロボットを動かすときは周囲の状況を確認し、安全を確保してから運転する。けが・装置破損の原因になります。
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モーターを無励磁にするときは、適切な安全対策を施す。けが・装置破損の原因になります。
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運転中は、電源を切ったり、モーターを無励磁にする信号を入力しない。ロボットが予期しない動作をするおそれがあり、けが・装置破損の原因になります。
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ドライバの電源を投入するときは、上位の制御機器から信号が入力されていないことを確認する。製品が意図せず動き出すことがあり、けが・装置破損の原因になります。
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ドライバの電源投入後、およびモーターの動力を遮断した後に運転するときは、最初に低速で位置を調整し、安全を確認する。けが・装置破損の原因となります。
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停電したときは、ドライバの電源を切る。停電復旧時に製品が突然起動して、けが・装置破損の原因になります。
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製品に異常が発生したときは、ただちに運転を停止し、製品を駆動するモーターの動力を遮断する。けが・装置破損の原因になります。
保守・点検
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作業開始前(日常)点検、および定期的な点検は、本マニュアルの指示に従って実施し、作業の前に製品および関連機器に異常がないことを確認する。けが・装置破損の原因になります。
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製品の仕様値を超えて使用しない。けが・装置破損の原因になります。
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可燃物を製品の周囲に置かない。火災・やけどの原因になります。
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通風を妨げる障害物を製品の周囲に置かない。装置破損の原因になります。
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製品に接続するドライバやケーブルは、指定された組み合わせで使用する。火災、けが、装置破損の原因になります。
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絶縁抵抗測定、絶縁耐圧試験を行なうときは、製品とドライバを切り離す。装置破損の原因になります。
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取り扱いの際は静電気対策を施す。静電気によって製品を駆動するモーターのエンコーダ(ABZOセンサ)やドライバが誤動作したり、破損することがあります。けが・装置破損の原因になります。
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エンコーダ(ABZOセンサ)を強い磁気に近づけない。エンコーダ(ABZOセンサ)が破損したり、製品が誤動作する原因になります。けが・装置破損の原因になります。
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作動中に異常な音や振動が発生したときは、運転を中止する。けが、装置破損の原因になります。
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モーターは、正常な運転状態でも表面温度が70 ℃を超えることがあるため、図の警告ラベルをはっきり見える位置に貼る。やけどの原因になります。
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エンコーダ(ABZOセンサ)を保護するため、モーターケースの表面温度は80 ℃以下で使用する。装置破損の原因になります。
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エンコーダ(ABZOセンサ)に強い衝撃を与えない。エンコーダ(ABZOセンサ)が破損して製品が誤動作し、けが、装置破損の原因になります。モーターには、図のラベルを貼り付けています。
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モーターとドライバを接続するときは、組み合わせを間違えないように注意する。間違えて配線すると、予期せぬ動作をするおそれがあります。けが、装置破損の原因になります。
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設置・配線を行なうときは、EMCの対策を施す。製品、ドライバから周辺の制御システム機器へのEMI、および製品やドライバのEMSに対して有効な対策を施さないと、装置の機能に重大な障害を引き起こすおそれがあります。完成した装置でEMCの適合性を確認してください。けが・装置破損の原因になります。
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作動制御装置の状態は、例えば、“動力「入」”、“不具合(障害)検出”、“自動運転”のように明確に表示する。表示灯を使用している場合は適切な位置に取り付け、色はIEC 60204-1に適合してください 。
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製品の第1軸(M1)の動作を制限するストッパ(1か所)に指などを挟まれないように注意する。けがの原因になります。ストッパ部には、図のラベルを貼り付けています。
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カバーのテープを取り外すときは、カバーが落下しないよう確実に保持する。けが、装置破損の原因になります。
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配線後は必ずカバーを取り付ける。けが、装置破損の原因になります。
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産業ロボットを使用する事業者は、労働安全衛生法第59条や関係省令などに定めるところにより、産業用ロボットの特別教育を実施してください。
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産業用ロボットを使用する事業者は、産業用ロボットの教示、プログラミング、動作の確認・点検、調整・修理を行なう作業者が適切な訓練を受けていること、およびその仕事を安全に行なう能力を持っていることを確認してください。
以下の法令や規格は日本国内での使用を対象とした代表的なものです。以下に記載する内容は、その一部です。なお、設計・製造するシステムや用途に応じて、適用すべき他の法令や規格があれば、それらも守ってください。
経済産業省関連の法令類
電気事業法、電気用品安全法、電気用品安全法施行令
厚生労働省関連の法令類
労働安全衛生法
労働安全衛生法施行令
労働安全衛生規則
- 安全衛生教育(特別教育を必要とする業務)
- 第36条の31号 産業用ロボットの可動範囲内において行う産業用ロボットの教示等の業務
- 第36条の32号 産業用ロボットの可動範囲内において行う産業用ロボットの検査等の業務
- 産業用ロボット(教示等)
- 第150条の3 産業用ロボットの可動範囲内において産業用ロボットについて教示等の作業をする時の危険防止の措置(第1号、2号は駆動源を遮断して行うときは、この限りでない)
- 1.作業規定作成(操作方法、速度規定、作業合図、異常措置などの手順)
- 2.直ちに停止できるための措置
- 3.操作盤上のスイッチに対する誤操作防止対策(作業中の表示など)
- 産業用ロボット(運転中の危険の防止)
- 第150条の4 産業用ロボットを運転する場合、リスクアセスメント(危険性等の調査)により、産業用ロボットに接触等の危険が生ずるおそれがあるときは、柵または囲いの設置などで危険防止の措置を講じなければならない。
- 産業用ロボット(検査等)
- 第150条の5 産業用ロボットの可動範囲内において産業用ロボットについて検査等の作業をする時の危険防止の措置(駆動源を遮断して行うときは、この限りでない)
- 1.作業規定作成
- 2.直ちに停止できるための措置
- 3.操作盤上のスイッチに対する誤操作防止対策(作業中の表示など)
- 産業用ロボット(点検)
- 第151条 産業用ロボットの可動範囲内において産業用ロボットについて教示・検査等の作業前の点検と補修の措置(駆動源を遮断して行うときは、この限りでない)
- 1.外部電線の被覆又は外装の損傷の有無
- 2.マニプレータの作動の異常の有無
- 3.制動装置及び非常停止装置の機能
産業用ロボットの使用等の安全基準に関する技術上の指針
労働安全衛生法第28条に基づくこの指針は、産業用ロボットの使用時における産業用ロボットとの接触等による災害を防止するため、産業用ロボットの選定、設置、使用、定期検査等、教育に関する留意事項について定めたもの。
安全衛生特別教育規程(産業用ロボットの教示等及び検査等の業務に係る特別教育)
第18条 労働安全衛生規則第36条第31号の教示等の業務に係る特別教育は学科教育及び実技教育により行うものとする。
第19条 労働安全衛生規則第36条第32号の検査等の業務に係る特別教育は学科教育及び実技教育により行うものとする。
労働安全衛生規則第36条第31号に基づく労働大臣が定める機械を定める告示
産業用ロボットの適用除外の内容
1.すべての原動機出力が80 W以下のもの
2.固定シーケンス制御で単純な動きの繰り返しのもの
3.可動部の最長の移動距離が300 mm以下であるもの
国際規格(日本産業規格:JIS)
ISO 12100(JIS B 9700)
Safety of machinery-General principles for design-Risk assessment and risk reduction(機械類の安全性-設計のための一般原則-リスクアセスメント及びリスク低減)
ISO 10218-1(JIS B 8433-1)
Robots and robotic devices-Safety requirements for industrial robots-Part 1: Robots(ロボット及びロボティックデバイス-産業用ロボットのための安全要求事項-第1部:ロボット)
ISO 10218-2(JIS B 8433-2)
Robots and robotic devices-Safety requirements for industrial robots-Part 2: Robot systems and integration(ロボット及びロボティックデバイス-産業用ロボットのための安全要求事項-第2部:ロボットシステム及びインテグレーション)
ISO 13849-1(JIS B 9705-1)
Safety of machinery-Safety-Related parts of control Systems Part 1: General principles fordesign(機械類の安全性-制御システムの安全関連部-第1部:設計のための一般原則)
IEC 62061 (JIS B 9961)
Safety of machinery Functional Safety of Safety-Related electrical, electronic and Programmable electronic control Systems(機械類の安全性-安全関連の電気・電子・プログラマブル電子制御システムの機能安全)